女性ホルモン補充療法

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更年期に入ると女性の約9割もの人が様々な不定愁訴を感じると言われています。その原因として、卵巣の老化による女性ホルモンの不足があげられます。ホルモン補充療法とは、卵巣機能の低下による女性ホルモン不足が不定愁訴の原因なら、不足した女性ホルモンを薬で補ってしまおうという治療法です。
日本ではまだあまり一般化された治療法ではないようですが、ホルモン補充療法の歴史が長いアメリカではこのホルモン補充療法が一般的治療法として、更年期や老年期の女性のかなりの人がこの治療を受けていると言われています。

女性ホルモンの種類とその機能

女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲスチン(黄体ホルモン)があります。

  1. エストロゲン
    生理的にはエストロン、エストラジオール、エストリオールの三者が存在しますが、このうちエストラジオールが最も作用が強い。卵巣、卵管の機能を促進します。また、子宮粘膜を肥大させ、子宮頚腺を刺激し粘液(頚部粘液)を分泌させます。膣では、膣上皮を肥厚させ、また、膣分泌液を酸性に維持します。乳腺の発育増殖を促進します。この他、骨形成の促進作用、総コレステロールおよびLDL低下作用、HDL増加作用、中性脂肪増加作用などがあります。
    女性ホルモン補充療法には通常、抱合型エストロゲン(エストロンなどの混合物)、エストラジオールやエストリオールが使用されます。
  2. プロゲスチン(黄体ホルモン)
    エストロゲンにより増殖した子宮粘膜をさらに増殖浮腫状(分泌型)にします。エストロゲンとともに乳腺の発育増殖を促進させます。コレステロールに対しては総コレステロールおよびLDLコレステロールを若干増加、HDLコレステロールを若干低下させます。
    女性ホルモン補充療法では酢酸メドロキシプロゲステロンが使用されることが多い。

女性ホルモン補充療法の効果

更年期障害のうち、ほてり・のぼせ(hot flush)、発汗、頻脈、泌尿生殖器委縮には高い効果が得られます。不眠やうつ症状に対しては30-50%程度の有効性を示します。長期投与では、骨粗鬆症の予防・治療効果があげられます。

女性ホルモン補充療法の実際

女性ホルモン補充療法の内容は、子宮がある場合と手術で子宮を摘出してある場合で異なります。また、治療期間については、更年期障害の治療目的では、閉経後1~5年程度行えば必要でなくなることが多いようです。一方、骨粗鬆症の予防・治療には長期投与が必要です。

  1. 子宮がある場合
    エストラジオール作用の強い薬物を長期投与すると子宮体癌(子宮内膜癌)の頻度が増加するため、これを予防する目的でプロゲスチンを併用する必要があります。(この場合子宮体癌の発生は女性ホルモン補充療法を行わない場合よりむしろ若干低下するといわれている)
    なお、米国での研究により、このエストロゲン+プロゲスチン補充療法を長期的に行うと、乳癌、脳梗塞、静脈血栓、心筋梗塞が増加することが証明されています。
  2. 子宮がない場合
    子宮体癌発生の可能性が無いためエストラジオール単独投与が行われます。ただし、子宮体癌で子宮を摘出した場合には、通常、女性ホルモン補充療法は行われません。
    また、長期にエストロゲンを補充すると、乳癌が増加すると考えられています。

女性ホルモン補充療法の副作用

女性ホルモン補充療法は、更年期以降の女性の大きな支えになってくれる治療法ですが、更年期障害に悩む患者にとってメリットだけがあるわけではありません。光の部分が強ければ影の部分、副作用というデメリットも当然存在します。

  1. 子宮体癌(子宮内膜癌):上記のように、エストラジオール作用の強い薬物の長期投与で、子宮体癌(子宮内膜癌)の頻度が増加しますが、プロゲスチンの併用で防止が可能です。(この併用療法はむしろ子宮体癌(子宮内膜癌)の発生を予防する働きがあります)
  2. 静脈血栓症:深部静脈血栓症が増加します。(ピルでは以前から報告されていました。頻度はきわめて低い疾患です。)
  3. 乳癌:エストロゲン単独あるいはプロゲスチン併用のいずれの場合でも、短期間(5年程度)では心配ありませんが、長期間(5-10年以上)女性ホルモン補充療法を施行すると乳癌の発生頻度が若干(20-40%)増加します。
  4. 動脈硬化症:エストロゲン+プロゲスチン併用療法を長期的に行うと、脳梗塞、心筋梗塞が増加します。
  5. 性器出血:エストロゲンとプロゲスチンの持続併用療法(上記の1)-B)でも、最初の数カ月は高頻度に性器出血が認められます。しかし、1年以上経過すると子宮粘膜が委縮し、出血はほとんど認められなくなります。
  6. 乳房緊満、帯下、むくみ
  7. 肝障害、胆石症
  8. 頭痛、悪心、嘔吐

女性ホルモン補充療法は医師の管理下で行う治療です。効果も高い代わりに、相応の副作用も考えられますので、担当の医師の説明をよく聞き、リスクを理解した上で治療を受けるか否か判断するのは当然でしょう。医師との信頼関係も大切ですね。

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Filed under: 更年期障害 — admin 10:33 PM